松の実は漢方では海松子といわれ、潤肺潤腸の効能があり、乾燥性の咳嗽や固い便の便秘など、陰虚による各種症状に使われます。これら補腎陰薬は古来より仙人食・長生きの薬とされて重宝されています。これは年齢を重ねると陰陽における「陰」が不足になる傾向にあるので、それを「食」で補う考えです。陰は単純に言うと、体における液状のもの全般を指しますが、これは体液や血液も指します。肌が枯渇し、しわが出るのも年齢が重なると出てしまうのですが、これも陰が不足になるためです。逆にむくみや水分代謝が悪く水を溜め込みがちなタイプの方は、これもよい状態ではないのですが、肌はみずみずしく一見綺麗な肌を維持します。しかし水滞証は冷えや血液の循環、水分の循環が悪く、むくみなどの原因にもなり、こういった場合はハトムギなどで陰を抜いて陽を補う食事が必要な方です。松の実は陰を補うタイプですが、便が固くて出ないなど腸における水分が枯渇したタイプや、熱りを自分で冷ます事が出来ないタイプ（冷却水が少ないとも考えます）以外に、目の乾燥や髪のパサツキ、肌の乾燥・喉の乾燥による咳など、陰を補うタイプにお勧めです。炒って使うと陰陽の陽が少し強調される性質に変化しますので、冷え性など陰の弊害を併せ持つ方には炒って服用下さい。医薬品でない食材とはいえ、陰陽虚実を考えて服用しないと、薬にも毒にもなりますので、理解して使うとよいです。「ＶＥが豊富だから老化に良い」や「単味成分だけ」で考えるのは植物性原料の場合は効果の出方にも間違いが多くなるので御注意下さい。これらは単味抽出化学物ではないので、トータル的なバランスを考えて使う材料です。油脂の配合成分・栄養成分・陰陽どちらに作用し、フラボン類などの植物独自の成分など複雑な角度から見る事がふさわしいです。食養生とはこれらを理解した応用食です。レシピ集でもないですし、生薬学が一部必要にもある場所です。漢方用の医療生薬を使う事だけが養生ではないので、気をつけながら色々お試しになるとよいです。夫婦間は血縁関係ではないので、体質が違えばで全く別の食材選びになる事も多いです。男性は陽、女性は陰の要素を先天的に多く持つ傾向が多いのも一因にあります。松の実においては、陰陽を間違う事による弊害は、それほど大きく考えなくてもよい「平」のレベルの生薬ですが、下痢症にだけはお勧めしません。固い大便の傾向のある方にはお勧めです。脂肪にはアンチエイジングのパルミチン酸・ミリスチン酸が豊富で蛋白質にはアルギニン・ヒスチジン・チロジン・グルタミン酸などのアミノ酸が含まれる栄養面でも滋養効果が高い食材です。 胡麻や枸杞子と併用されるとよいです。

＜価格＞ ・海外QAIオーガニック認証：松の実（無塩・生タイプ）
　50g　480円