ひとえにエコロジーといっても、「自然の捉え方」において広義なものから狭義なものがあり、大きく2つに分けると、政治や企業において用いる様な、持続的な人間社会の自然物利用の在り様を見るシャロウエコロジーと、人間は自然の一部として考え、全ての選択を人間社会より自然中心的な捉え方をするディープエコロジーに分かれます。漠然と企業や政府が謳うものは、物質を媒介する方法論として用いやすい前者のシャロウエコロジーで、自然なくしては人間社会が上手く機能しないという、いわば対策観念で、持続可能な人間社会作りを目指す人間中心主義的観念です。政治は人間社会を円滑に機能させる事が本丸ですから、当然といえば当然の選択になります。ディープやシャロウのどちらがよいとか、悪いかという、学術的論争がこれまで学会で多く為され今日に至っていますが、これには多くの専門知識も必要なところですので、ここでは触れません。
　 本来ディープエコロジーの考えの中から、自然と人間社会の両立という方法論として導き出されるのが、シャロウエコロジーであるべきだという健全な関係が成立せず、人間が作り出す利己主義的な環境への主張がシャロウエコロジーになっている面はこれからもっと認識として成熟して欲しい部分です。企業の謳うメッセージ、素材や商品のもつ真の意味を理解するためには、このエコロジー観がどちらにあるかで、大きく変わります。エコロジー対策は必要に迫られ、その代替案が考えられる中で、何を創り出すのか考える際にシャロウエコロジー観念とディープエコロジー観念とで、大きく違うものができあがってきます。良し悪しの判別は価値観によるため、優劣つけ難く、エコロジー関連においては、どれも正論に仕立て上げる事が可能です。
　 エコロジーについて、ディープかシャロウという事を考える事が大切だとは思いません。 大切に感じるのは、これからはそのエコロジーの在り様を消費者が判断し、考え、選択すべきだと思うのです。ひとつ商品を買ったり、選ぶ際に、その基準に、あなたは何にプライオリティーを置いて選ぶかをはっきりさせておくべきです。
　 企業や諸商品は購買力を付ける為に、必死に多くのエコロジーの良い面を表に出してきます。これはエコロジー商品には限りませんが、そういったマスメディアやデザイン力など表面の雰囲気やカタログスペックに特に日本の消費者はだまされていると感じます。自分で選ぶというより、商品の魅力に選ばされているとでもいうのか・・・・。価格設定までが、それが反映されています。
　 例えばエコロジカルなクルマ選びにおいて、燃費というカタログスペックばかりが目に行くのが一般的です。生産過程に、鉛や廃棄できないものを多く搭載した最新設備の省燃費車のカタログには、不親切にも、そういう見せれない面は、綺麗な写真とオプションパーツで飾られている事でしょう。建築においては使い捨て型の長持ちする家作りが最もエコロジカルに繋がるのではないか？と、当店を設計した建築家が言っておられました。再生を考え、壊れず、モデルチェンジによる褪せの少ない選びもエコロジカルな車なのかもしれません。何より化石燃料の使い方とそのモラルは大切な要素になります。
　 ナチュラルな自然化粧品においても「安全性」を謳うものと、「オーガニック」を謳うもの、「動物実験への配慮」を謳うものや、全てミクスチャーに謳うものなどもあります。ただし素材や原材料、コンセプトなどよく見ればメーカーによってどこに力を入れているのかは分かるものです。
　 動物実験の廃止を希望する方のなかでも、単に「可哀相だ」という情緒的なものであったり、動物の「痛み」を自分の身に置き換えている「だけ」であれば、動物実験反対主義の中でもシャロウな考えになるでしょう。過激派アニマルライツの活動主導者の多くは、「目には目を」といったコーラン主義を唱えて復讐や圧力ばかりを考えていては、生命に対する倫理観は皆無に等しく、人類最大の過ちのひとつである「戦争」の様に、情緒的なぶつかり合いを肉体や何らかの圧力をぶつけているにすぎません。非常に低質な対応策であるとも言えます。

「考えて行動する」これは今後のキーワードになりそうですね。損得の判断も、どちらが金額が安い、といった貨幣や物理的な天秤量りでなく、大きなモノの動きを読み取れる賢い購買者ばかりになれば、ニセモノは自然と淘汰され消えていくのです。安いものを沢山買うより、良いものをひとつに出来るスモールな方が賢い選択になる事も多いですし、ひとつのものを大切にするだけで大方は解決する事が多いのです。多くの収納術の結局主張する部分は「要らないものを捨てる事です」。　全く馬鹿げた収納です。
　考える際は、決して何かひとつの考えや団体や人間に執着したり、囚われてしまうと、心もからだも奪われてしまい、気が付く頃は「あとの祭り」になってしまうものです。自分で色々考える時間を作る事も大切なのです。その様にして立派な社会ができあがるのです。